一発試験とは
運転免許を取得するにあたり、ほとんどの方は公安委員会公認の指定自動車教習所へ通うという選択をすると思う。この指定自動車教習所は決められた時限数の学科と技能教習を受けた上で修了検定(仮免)、卒業検定に合格すると試験場での技能試験が免除されて学科試験のみの合格で免許が交付される。
教習所を卒業するメリットは難関と言われている試験場での技能試験が免除になることや決められたカリキュラムを履行することで最低限の基本運転操作が身につくこと、教習所にとっては教習生はお客様なのでほとんどの人が卒業できること。デメリットは免許を取得するまでにかかる費用が高いこと。法規走行・課題走行に自信がある人でも決められた時限数を消化しないと卒業検定を受けられないことが挙げられる。
一方、いわゆる一発試験(飛び込み)は運転免許試験場へ直接行き学科試験と技能試験を受けて合格後、取得時講習終了後に免許交付となる。
例えば普通免許の取得を考えている場合は、仮免学科、仮免技能、本免学科、本免技能と4回試験場に足を運ばなければならず、更に本免技能合格後に取得時講習を指定自動車教習所で受講後、もう一度(最低5回)試験場へ足を運びようやく免許が交付される。以上のように一発では終わらないが、なぜかこれが一発試験と呼ばれるのである。ただ、例えば普通免許を持っている者が大特一種やけん引一種を一発試験で受験する場合は技能試験を一回で合格できればその名の通り一発で即日免許交付が可能である。
メリット
- ある程度の安全意識、運転スキルを持っていれば短期間で免許の取得が可能なこと。
- 無勉強無練習でも試験が受けられること。
- 受験回数が少なければ免許を取得するまでにかかる費用が教習所よりかなり抑えられること。
- 教習所よりも採点がシビアなので正しい知識と安全意識、確実な法規走行が身につくこと。
デメリット
- 試験(採点)が厳しいこと。(本来の試験はこうあるべきだと思う)
- 正しい知識や法規走行がしっかり身についていないと容赦無く減点されていつまでたっても合格できないこと。
- 教習所のようにフレンドリーではない試験官(警察官や警察職員)が横に乗り採点するので慣れていないと緊張すること。
- 試験は平日のみなので土日休みの仕事をされている方は有給等を使い受験しなければならないこと。
採点基準と難易度
採点基準
採点基準に関しては警察庁交通局長通達「運転免許技能試験実施基準について」を元に技能試験の採点がされている。
以下を検索すると警察庁のHPからPDFをダウンロードできる
運転免許技能試験実施基準について(PDF)
運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について(PDF)
教習所も一長一短があり決して教習所が悪いわけではないが、上位免許に関しては昔のように一発試験のみでしか取得できないようになればもっとプロ意識を持ったドライバーが増えるのではないかと勝手に思っている。まぁ話はそれたが、一発試験はとにかく安全確認に関してはとても採点がシビアのでしつこいくらいの確認が必要になる(以下一例)。
(MT、場内試験の場合)
- 運転席、ハンドルの位置調整
【運転姿勢不良】 ー5点
シートの調節をしないため又はシート調節が不適切なため、不自然な姿勢のとき。〔席〕 - ルームミラーの調整
【安全措置不適】 ー5点
発進時、バックミラーが合っているかどうかを確認しないとき。〔鏡〕 - シートベルト
【安全措置不適】 ー10点
シートベルトを着用しないとき。〔帯〕 - クラッチを踏みながらギアをニュートラルにしてエンジンをかける
【安全措置不適】 ー5点
ギアが入ったままクラッチを切らないで、エンジンを始動したとき。〔ギア〕
たとえ調整する必要がなくてもミラー等を触って試験官に調整しているアピールをしなければならない。エンジンを始動するまでにやらなければいけないことが事前に分かっているのと分かっていないのとでは全然違う。
例えば二種の試験は合格点が80点以上なので、以上の全てで減点されたら減点超過で発進する前に試験中止になってしまう。
難易度
難しい?
いいえ
ちゃんと事前準備をしておけば
難しくありません。
技能試験はほぼ知識試験です!
もちろん最低限の車両感覚等は必要です!
技能試験はもちろん最低限の運転技術も見られているが、一番見られているポイントは安全確認がしっかりできているか、交通ルールを理解して安全意識を持って運転できているかである。
そして採点基準をよく読み、試験では何をしなければいけないのか、何をしたら減点されるのかを理解しておけば少ない回数での合格が見えてくる。
一発試験受験体験記
過去3年分の一発試験の合格率
以下、本題の一発試験の受験者数、合格者数、合格率を警察庁の運転免許統計から概算で割り出し。
一発試験のデータ自体は運転免許統計には含まれておらず他のデータからおおよその数を割り出せる。また、技能試験のみのデータは抽出できず【学科試験及び技能試験を受けて合格した者】【学科試験免除で技能試験を受けて合格した者】の両方が含まれ、途中で一発試験の受験を辞めた者も受験者数に含まれていると思うので、実際の合格率はこのデータよりも少し上回ると思う。あくまでも「おおよその数値」として参考にしてほしい。
その他の項目は【学科試験及び技能試験免除で合格した者(特定失効者、特定取消処分者、外国免許切替者)】。また、第二種免許の特定失効者は第一種免許の特定失効者にも計上されているので、一種の特定失効者から差し引いている。
第二種免許
大型二種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
11092 | 903 | 8.1% | 12.3回 |
中型二種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
655 | 49 | 7.5% | 13.3回 |
普通二種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
23609 | 1682 | 7.1% | 14.1回 |
大特二種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
1458 | 431 | 29.6% | 3.4回 |
けん引二種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
1918 | 407 | 21.2% | 4.7回 |
第一種免許
大型一種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
7813 | 2214 | 28.3% | 3.5回 |
中型一種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
3969 | 989 | 24.9% | 4.0回 |
準中型一種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
5010 | 606 | 12.1% | 8.3回 |
普通一種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
506136 | 23135 | 4.6% | 21.7回 |
大特一種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
18664 | 9356 | 50.1% | 2.0回 |
けん引一種
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
7846 | 3170 | 40.4% | 2.5回 |
大型自動二輪
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
9907 | 1773 | 17.9% | 5.6回 |
普通自動二輪
平均 受験者数 |
平均 合格者数 |
平均 合格率 |
平均 受験回数 |
36331 | 1901 | 5.2% | 19.2回 |